(17)  ちはやぶる 神代も聞かず 龍田川
     から紅に 水くくるとは
                                                (在原業平朝臣)

(歌意) 不思議なことが多い神代の昔でさえも
      聞いたことがない。
     この竜田川が、散った紅葉で
            紅色の絞り染めにするなんて 

       All red with leaves Tatsuta’s stream
    So softly purls along,
    The everlasting Gods themselves,
    Who judge ’twixt right and wrong,
    Ne’er heard so sweet a song.   
             THE MINISTER
                                       NARIHIRA ARIWARA

北野天満宮のモミジ   
奈良公園 国際フォーラムの庭園   


プレイボーイで有名な在原業平は、「昔、男ありけり」で始まる伊勢物語の主人公のモデルとされています。この歌は実際に竜田川の紅葉を見て詠んだのではなくて、屏風に添えるための歌を元の恋人、二条の后(清和天皇の妃)に頼まれ、その屏風に描かれていた竜田川の風景を見て詠んだというのが真相で、このような歌を「屏風歌」と言うそうです。写真は創作した風景です。

落語の「千早振る」
博識であるため長屋の住人達から「先生」と慕われる隠居の下に、なじみの八五郎が尋ねてくる。なんでも、娘に小倉百人一首在原業平の「ちはやふる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」という歌の意味を聞かれて答えられなかったため、隠居のもとに教えを請いにきたという。実は隠居もこの歌の意味を知らなかったが、知らぬと答えるのは沽券にかかわると考え、即興で次のような解釈を披露する。

大昔、人気大関の「竜田川」が吉原へ遊びに行った。その際、「千早」という花魁に一目ぼれした。ところが、千早は力士が嫌いであったため、竜田川は、振られてしまう(「千早振る」)。振られた竜田川は、次に妹分の「神代」に言い寄るが、こちらも「姐さんが嫌なものは、わちきも嫌でありんす」と、言うことを聞かない(「神代も聞かず竜田川」)。このことから成績不振となった竜田川は、力士を廃業し、実家に戻って家業の豆腐屋を継いだ。それから数年後、竜田川の店に一人の女乞食が訪れ、「おからを分けてくれ」と言う。喜んであげようとした竜田川だったが、なんとその乞食は零落した千早太夫の成れの果てだった。激怒した竜田川は、おからを放り出し、千早を思い切り突き飛ばした。千早は、井戸のそばに倒れこみ、こうなったのも自分が悪いと井戸に飛び込み入水自殺を遂げた(「から紅(くれない)に水くぐる」)。 

八五郎は「大関ともあろう者が、失恋したくらいで廃業しますか」、「いくらなんでも花魁が乞食にまで落ちぶれますか」などと、その都度、隠居の解説に疑問を呈すが、隠居が強引に八五郎を納得させる。そして上記の説明を終え隠居は一安心するも、最後に八五郎は「『千早振る 神代も聞かず竜田川 からくれないに水くぐる』まではわかりましたが、最後の『とは』は何ですか?」と突っ込む。すると、とっさの機転でご隠居はこう答えた。「千早は源氏名で、彼女の本名が『とは(とわ)』だった」と・・      

            ウィキペディアから引用

 

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