(57) めぐりあひて 見しやそれとも
わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな
(紫式部)
(歌意) 久し振りに巡り合ったのに
その人かどうか見分けも
つかないうちに帰ってしまった。
すぐに雲に隠れてしまった
夜中の月のように。
I wandered forth this moonlight night,
And some one hurried by;
But who it was I could not see,—
Clouds driving o’er the sky
Obscured the moon on hight.
MURASAKI SHIKIBU
作者が紫式部なので、ほとんどの人がこの歌は恋の歌だと思うけど、これは女友達を思って詠んだ歌だそうです。 つもる話があったのに、月が雲に隠れてしまうように早々と帰ってしまった友達との別れを惜しんで詠んだ歌だということです。
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(58) 有馬山 猪名の笹原 風吹けば
いでそよ人を 忘れやはする
(大弐三位)
いでそよ人を 忘れやはする
(大弐三位)
(歌意) 有馬山に近い猪名の笹原に風が吹くと
「そよそよ」と笹の葉が鳴るように
あなたが風を吹かしてくれれば
私はいつでもなびきます。
私があなたのことを忘れることが
ありましょうか。
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