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8月, 2021の投稿を表示しています
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  (05) 奥山に  紅葉ふみ分け なく鹿の       声きく時ぞ秋は悲しき                                                (猿丸大夫) (歌意) 人里離れた山で紅葉を踏み分け、    雌鹿を求めて鳴く  雄鹿の声を聞く秋は    とりわけもの悲しい。 I hear the stag’s pathetic call Far up the mountain side, While tramping o’er the maple leaves Wind-scattered far and wide This sad, sad autumn tide.     SARU MARU, A SHINTO OFFICIAL    「大夫」とは、「五位」以上の官位を持つ者に与えられた呼称で、猿丸大夫は三十六歌仙のひとりでありながら、実在してたかどうかは疑わしいそうです。参考にさせてもらっている、吉海直人氏監修でPHP研究所発行の「こんなに面白かった百人一首」によると、 この歌の鹿はオスで、 雄の鹿は晩秋になると連れ合いを求めて鳴く習性があり、作者も愛する人と離れて孤独な境遇にあって、鹿と自分とを重ねていたのだろう としています。
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(04)  田子の浦に 打出てみれば 白妙の        ふじの高嶺に 雪は降りつつ                                                    (山部赤人)     ( 歌意) 田子ノ浦の海辺に出て見渡すと、       富士山の頂きには真っ白い雪が       降り積もっているなあ。  I started off along the shore,  The sea shore at Tago,  And saw the white and glist’ning peak  Of Fuji all aglow  Through falling flakes of snow.            AKAHITO YAMABE 山部赤人は美しい自然の情景を詠むのを得意とした下級役人で、関東や四国(当時はかなりの僻地)などへ派遣されており、この歌も駿河湾あたりに公務で訪れた時に、富士山の雄大さに感動して詠んだ歌だそうです。確かに普段見ることのない富士山を、好条件下で見ると感動を覚える山です。私は山頂のお鉢巡りも体験したこともあるので、色々と思い出されますが、やはり富士山は登る山というより、見る山ですね。
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(03)  足引の 山鳥の尾の しだり尾の        ながながし夜を ひとりかもねむ              (柿本人麻呂) (歌意)夜は独り寝すると言われる山鳥の                 長く垂れ下がっている尾のように                 長いながい秋の夜を     私もひとり寝るのかなあ。   Long is the mountain pheasant’s tail   That curves down in its flight;   But longer still, it seems to me,   Left in my lonely plight,   Is this unending night.         THE NOBLEMAN                                         KAKI-NO-MOTO 柿本人麻呂の作とされているが定かでないようです。 「〜の」という言葉が4回続き、これを繰り返すことによって、歌にリズムを付けています。 キジ科の山鳥は、雄と雌が離れて眠る習性があることから、「一人寝の寂しさ」を表現する例えとして使われることが多いようです。 写真の下方部の山中には、別々に離れて眠っている山鳥を想像しながら詠んでみてください。 柿本人麻呂は、全国各地の「柿本神社」に祀られており、和歌の上達は勿論、火災除け(火止まる)や安産(人産まる)にもご利益があるそうです。 「いろは歌」 「 いろは歌」の存在は知ってたけど、中身についてはよく知らなかったので調べてみました。 いろはにほへと( 色は匂へど) ちりぬるを( 散りぬるを) わかよたれそ( 我が世誰ぞ) つねならむ( 常ならむ) うゐのおくやま( 有為の奥山) けふこえて( 今日越えて) あさきゆめみし( 浅き夢見じ) ゑひもせす( 酔ひもせず) 意味は ...
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(01)  秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ      わが衣手は 露に濡れつつ               (天智天皇) ( 歌意)秋の田のそばにある                 仮小屋の屋根は粗いので      そこで番をする私の袖は、                 露で濡れていって しまうなあ。                 Out in the  fields this autumn day     They’re busy reaping grain;     I sought for shelter’neath this roof,     But fear I sought in vain,     My sleeve is wet with rain.                                     THE EMPEROR TENJI        斎宮跡(三重県)の古代米 この歌の作者は天智天皇となっていますが、天皇自らが仮小屋で番をするとは思われないので、「詠み人知らず」の伝承歌が天智天皇作とされたというのが通説だそうです。当時の人々の解釈では、天皇が農作業に携わる農民達の立場に立って、その気持ちを思いやり詠んだ歌とされております。                                           ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※※※ ※※※ ※※※    (02)  春過ぎて 夏来にけらし 白妙の ...